◆エメラルド(Emerald)(和名:翠玉、緑柱石)◆
5月の誕生石、牡牛座、山羊座、双子座、蟹座の守護石

 5月の誕生石で、宝石言葉は、幸福、夫婦愛。語源は、古代ペルシア語に由来し、後にラテン語の転訛したもの。
 エメラルドと人間の関わりの歴史は古く、4000年前の古代エジプト時代に掘られたと推定される鉱山跡が残っています。古代エジプトでは、エメラルドは、宇宙の心理を見通す神秘的な力があるといわれ、ファラオたちは、エメラルドと神とを同格として、神の像の目の部分にエメラルドをはめたり、王はこのエメラルドを粉にしてのみ、神にふさわしい聖なる力を得ようとしました。古代エジプト最後のファラオである女王クレオパトラは特にエメラルドを愛し、エジプトにあった当時世界最大のエメラルド鉱山の名前をクレオパトラ鉱山と名前を変えたほどでした。
 古代ローマでは、エメラルドの緑色が目の疲れを癒したり、眼病の治療に有効とされ、粉にされたエメラルドを目に塗ることが流行しました。ローマ皇帝ネロが剣闘士の試合を観戦したあと、冷たく透き通ったエメラルドで、目の疲れを癒し、視力を回復させていたと言い伝えられています。
 「傷のないエメラルドを探すことは、欠点のない人間を捜すより困難」という言葉があるとおり、エメラルドは内包物(インクルージョン)が含まれ、ヒビや傷があることがほとんどで、かえって、内包物が含まれていることが、天然のエメラルドであるという証になるほどです。実は内包物のクロムこそがエメラルドの緑色を作っているのです。
 エメラルドは、ダイヤモンドに比べるとずっと硬度の低い宝石であり、衝撃は禁物で、取り扱いには十分気をつけなければなりません。
 最高品質のエメラルドは、俗に「エメラルドグリーン」よ呼ばれる色のもの。
 産出国は、ブラジル、コロンビア、パキスタン、インド、ロシア、ザンビア、モザンピーク、ジンバブエ、マダガスカル、南アフリカ共和国で、その中のコロンビアが全生産量の80%を占めています。


◎Colum◎
【エメラルドの仲間たち】

 鉱物学的には、エメラルドは緑柱石(ベリル)に属し、青色はアクアマリン、ピンク色はモルガナイト、黄緑色はヘリオドール、赤はビギシバイトと呼ばれています。

【イミテーション】
 傷のないエメラルドはめったに見つからない貴重品ですので、水晶に緑色の接着剤を張り合わせたソーデエメラルドと呼ばれる模造品が多くで回っています。見た目ではほとんど本物と変わりませんが、水を入れた透明な容器に入れて横から見ればその違いを見ることが出来ます。本物の場合は、どこから見ても緑色ですが、ソーデエメラルドは接着した部分が黒ずんで見え、他の部分が無色透明に見えるのです。

化学組成Be3Al2Si6O18
硬度7.5〜8
比重2.68〜2.76


TOP宝石の小部屋>エメラルド