◆金、ゴールド(Gold)◆

金(ゴールド)の歴史は人類の歴史とも言え、太古からその価値が見いだされた鉱物です。
金の発見は今から5000年〜6000年前といわれています。人類が金を親しんで利用とした理由は、天然で塊(ナゲット)や砂金の状態で発見され、特に精錬技術がなくても、そのまま使えたということがあげられます。以来、人類はこの「太陽のような輝きを持ち」「けっして錆びることも腐ることもない」物質に魅了され続け、その採掘と精製にたゆまない情熱を傾けてきました。

金は、天然で目に見える固まりとして産出されることが現在非常にまれな鉱物で、一般には金をわずかに含む鉱石(金鉱石)を採掘精錬する作業が必要です。それでも金を多く含む金鉱石からでさえ、1トンから数グラム程度しか取り出すことはできないという途方もない膨大な時間と労力とコストがかかります。人類が数千年かけて採掘した金の総量が10万トン程度(オリンピックプールにしてわずか2杯弱)にすぎません。そのうち約3万トンが海に沈んだり埋蔵金として損失、残りの4万トンが各国の中央銀行が所有してます。 残りの3万トンが市場に流通してると言われています。金の価値の源泉は、こうした稀少性にあるということもできるでしょう。

金は金属のなかでも比較的柔らかく、加工しやすいという特性を持っています。理論的には金は1万分の1の薄さにのばすことができ、また、1グラムの金は3000メートルまで引き延ばすことができます。したがって金は宝飾品としてだけではなく、工業用として、また金箔などを用いた美術工芸に至るまで、ざまざまな分野で使われています。また鉄などの金属に見られる錆(酸化)が発生せず、塩酸と硝酸の混合液(王水)以外には化学反応しないというきわめて安定した性質も持っています。そのために、驚くべきことですが千年たっても一万年たっても永遠にその輝きを失うことはありません。メソポタミア文明やエジプト文明に代表される古代文明の時代から金が「装飾品」あるいは「貨幣」に加工され利用されて、富のシンボルとしての意味を持ち続けた背景にはこうした不変性があるようにも思えます。

金が「通貨」として歴史に登場するのは、紀元前11世紀の中国、または紀元前7世紀の小アジアのリディア王国が最初であるという説もあります。諸説あるようですが、いずれにしても通貨としての金の歴史は、ほぼ三千年にわたっていることが分かります。金の価値を考える時、この長い歴史はけっして無視することはできないでしょう。

◎Colum◎
【18金、24金って何?】
日本では通常、金の含有率を24分率で表し、「K(カラット=Karat)」または「金」で表示します。したがって純金は「K24」、日本で一般的に装飾品として多く用いられる18金は、金が24分の18(75%)含まれている合金である事を示します。欧米では1000分率で表す国も多く、18金は「750」と刻印されています。また、欧米では14金も一般的に使われています。これは24分の14(58.5%))の金が含まれているということです。
ちなみに、18金(75%)の残り25%の金属は一般的に銀、銅、パラジウムなどが使われます。銀やプラチナの場合は、硬度を高くして強度を増すというのが主な目的ですが、金の場合は色のバリエーションを出すことも大切な目的です。

【金のバリエーション】
金は純度100%の場合、やわらかくて磨耗しやすく装飾品としては不向きなので、一般にはいろいろな金属を入れて強度をもたせたり、また装飾のため色を変えたりしています。
・K18イエローゴールド
ごく一般的な金色のゴールドです。25%の割り金のうち、銅と銀をほぼ同じ割合で混ぜています。
・K18ホワイトゴールド
最近人気のあるゴールドです。元々は元々は1917年ロシア革命で主要産出国ロシアからのプラチナ供給が少なくなりヨーロッパでプラチナの代用品として開発され、広まったものです。プラチナに比べ値段が安く、また重くなりすぎないので、プラチナの代用品として多用され、現在欧米では白い金属と言えばプラチナではなくホワイト・ゴールドを指すぐらい一般的になっています。以前は割り金にニッケルを用いていましたが、ニッケルは金属アレルギーの原因になりやすいため、現在はパラジウムを使うのが一般的です。装飾品には「K18WG」と刻印が打たれます。
・K18ピンクゴールド
銀と銅の比率が2:8、さらにパラジウムと微量の亜鉛を混ぜてピンク色を出したゴールドです。肌色に近い柔らかい色合いが特徴ですが、通常のK18よりも硬く、加工の際に割れやすいため、サイズ直しなどか難しくなります。


Gold(Au)
原子番号79
元素記号Au(ラテン語のaurumが語源)
純金の比重19.4
純金の融点1336K


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