田瀬ダム(北上水系猿ヶ石川)(岩手県)

◆2010年9月11日(土)撮影
 田瀬ダムは、北上特定地域総合開発計画(KVA)に基づき建設された「北上川五大ダム」で最初に計画され、二番目に完成したダムで、下流域の北上川の治水、流域の農業用水供給および電力発電が目的である。ちなみに最初の国直轄ダムでもある。

 戦前に策定され、「北上特定地域総合開発計画」の前身である「北上川上流改修計画」により1914(昭和16)年に「猿ヶ石堰堤」(さるがいしえんてい)として工事が始まった。
 しかし、太平洋戦争の激化により、すべての資産を戦争遂行のために供出する「決戦非常措置要領」が1944(昭和19)年8月に発令され、ダム建設は中止を余儀なくされる。

 終戦直後、深刻な食糧難に対応するために、農地拡大が期待できる潅漑目的のダムが優先して建設され、田瀬ダムは工事が中断したままであった。しかし、カスリン台風やアイオン台風による甚大な水害に見舞われ、大きな経済損失を被った政府は従来の方針を転換して、治水目的ダムの工事が再開されるようになった。また、カスリン台風やアイオン台風の教訓を取り入れて従来の計画を修正した「北上川上流改訂改修計画」が策定され、田瀬ダムも建設計画を修正した上で1950(昭和25)年に工事を再開し、1954(昭和29)年10月に完成。

 当初は川の名前から「猿ヶ石堰堤」(さるがいしえんてい)としたが、後に水没する地名を取って「田瀬ダム」(たせだむ)と名称変更している。

ダム上部は自動車での通行が出来ます。

何となく、国境検問所のような雰囲気があるように見えるのは気のせいかな?

ダム湖である田瀬湖に沈んだ遺構。どうやら黄金沢発電所跡らしいです。

ダムすぐ近くにある謎のアーチ状の建造物。もしかしたら旧道跡なのかもしれません。

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